人生の中で仕事の占める割合は大きく、そして人に感謝される仕事ができることほど人生で喜ばしいことはないと思っています。
自分の得意なこと、好きなことの道を極めつつそのそばに、多くの人の喜びを作り出せる。
そんな医療・介護の仕事は、本当に素晴らしいと思っています。
生涯かけて「なりたい自分」になる。
患者さんやご家族を自分の特殊技能でしあわせにしていく。
そして家族や友人たちとの時間も大事にする。

そんなことをすべて実現したいと思う人が集う場所でありたいと思っています。

私自身の話を少ししましょう。
名古屋の在宅専門クリニックで働き出してから「在宅医療はすごい。人生をかけてやっていきたい」と思うまではそう長くかかりませんでした。
その後、クリニックにずっと勤めることもできましたが、新しい在宅医療の専門のクリニックがない場所に作った方が患者さんに喜ばれるのではないかと思ったのです。
もともと「医師になってから10年間はスーパーローテート期間としよう」「35歳になったら”新しいチーム”を作ろう」という目標を人生計画に書いてもいました。
ただクリニックを本当に始めるとは自分自身でも直前まで思っていませんでしたが、いろいろな偶然も重なり36歳でクリニックを始めることになりました。

名古屋以外で在宅医療をやるのであればどこかな?と、思いながら考えていました。
在宅医療クリニック専門クリニックはまだ少なく、どこでも選べるような気がしました。
そこで私は、大変現実的な判断をしました。
場所を決める要素として考えたことは
1 人口が40万人前後の中規模都市
2 奥さんの実家に近い所      
でした。

実は1,2ともに「私の家族の生活」を重視しています。
自分が40万人くらいの中規模都市で育ったので、2人の子どもを育てるには、自然の近くにありながらも厳しすぎない教育環境が整った中規模都市がいいと思っていました。(岐阜も42万人都市です。)
また在宅医療を365日24時間をひとりでスタートするのは、家族に負担がかかります。
僕が仕事ばかりになってしまっても家族が寂しがらない状態、妻にとって心地よい状態をどう作れるかと考えると幼なじみや親族がいる実家の近くがいいと思ったのです。
今でこそ当番ではない日には旅行にも学会にも行けますが、開設から3年は常勤医師1人体制で岐阜から20分圏域から出ることができず小旅行にさえ行けない日々が続きましたのでこれは大正解でした。
また、僕が好きなバーべキューができるいい場所が近くにあることも岐阜を選んだ理由のひとつです。
住んでみると土地や家賃も安いのに、JRを使えば岐阜駅から名古屋駅までは20分。
名古屋市内でも地下鉄で30分かかる所があるのですから、そこよりも利便性が高く、長良川などの自然も近くにあります。
安くておいしい飲食店も多く、住んでいる人たちも穏やかで本当に過ごしやすい土地であり、今では大好きな場所です。

自分自身や家族に無理をさせながらいい仕事を長く続けることはできません。
ある方に言われました。
「支援する人こそ、支援されることが大切なんだ」と。
あなた自身の人生や生活を大切にしながら医療者として誇りを持てる仕事に取り組める環境をつくりたいと思っています。