訪問看護

私は高校生の頃、人をしあわせにする仕事を、と思って医師になることを決めました。でも病院では、病気を治すことを優先せざるをえず、その人のしあわせにはあまり影響できていないと思っていました。そんな「病気をみることができるようになる10年」を過ごしたのち、そろそろ急性期のマネジメントは他の人に任せて、今後必要になるのに、まだみんながやっていないことに自分の人生を使うことにしました。
人のしあわせにとって、確かに医学はとてもパワフルなツールではありますが、それだけでは人の人生を充実させることはできません。しあわせとは心が感じるものです。その人の好きなこと、やりたいこと、会いたい人など、大切な「何か」に取り組んでもらう中で、人生を前に進めていくことができるのではないかと思っています。

病気をみられるようになったら、その人全体を見たい。
人全体をみられるようになったら、その人を支える社会全体とみれるようになりたい。
治療もいいけど、予防も大事。
医師の役割を「病気を治す人」という定義から
「しあわせを実現する人」という定義にしてみると
見える世界が全くかわってしまうのです。

診療看護

私の父親は58歳で亡くなりました。近い遺伝子を持った人が早めになくなること。それは自分の人生計画をより深く考えさせるきっかけとなりました。それであれば、80年生きる計画ではなくて、もっと早い幕切れであっても後悔しないことがやりたい。
子供とも一緒に過ごしたり、自然の中に行けたり、周りのひとと楽しんだり…。老後のことを考えて準備する人生というものはなくなり、「後悔しない人生」を深く考えるようになりました。
大学を卒業する時に決めたことがあります。それは「予想できる人生はもう生きたことにしよう」ということです。ドラえもんにたとえるならば、「もしもボックス」で「このまま行ったらどうなりますか?」と尋ね、それがありありとすべて予想することができるのであれば、その人生を選択して追体験する意味がどれだけあるのかということです。
予想できる人生は確かに安全で安心で、みんなが納得するものでしょう。
でもそれを自分自身として納得できるのかどうか?やりたいことをやらなかった人生も一見リスクがないように見えて、「後悔する」というリスクをはらむものなのです。
医師になった時点で「食べていくことはできそう」と思ったのであれば、「食べていくこと」は仕事の目的にならないと思います。「自分がやるべき仕事とはなにか?」と問うてみてもよいと思うのです。

 

私が昔、在宅医療に抱いていたイメージは、縁側でお茶を飲む感じでした(笑)。
しかし実際の在宅医療は、ITを使いこなしつつ、グループ診療を行い、どんな重症の患者さんであってもさまざまな専門家の智慧をつかって対応していくというものです。急性期の対応はある程度プロトコールにしたがいますが、慢性期のコントロールは個別要素が多くすべてが応用となります。まず急性期のコントロールを押さえた後、慢性期をどのようにチームで取り組んでいくか、再入院をどう予防するかにつきます。そうした観点から、当院では「栄養」を高め、リハビリを進めていくことの大事さを感じているのです。
No food, No life (そりゃそうでしょう。笑)
慢性期にどう対応するのかは、さまざまな要素を調節していくことが必要となり複雑です。ただ対応がうまくいき奇跡的な復活を遂げる人を見るたびに、人間の不思議さを実感するのです。

 

誰かをしあわせにするために、誰かを犠牲にしないように、構造的な解決策を考えていかなければならないと思っています。それには「どこでどのように働くのか?」ということが中心の課題です。在宅医療は慢性期の患者を多く扱うために、非常勤として勤務すれば万が一急に休むことになっても他のスタッフがカバーしたり、患者さんにお願いして予定日を変えてもらうことが可能です。外来であったらすでに病院に大勢の患者さんが来ているので対応が難しいのですが、在宅ならば可能です。さまざまな緊急事態にもフレキシブルに対応できる構造だからこそ、在宅医療の現場で働く女性が増えています。仕事と家族の生活を両立しやすい職種だと思っています。

一人で開業することの悩みは、自分がやっていることがどの程度正当な医療なのかということです。ほっておくと10年前の常識で医療をすることになってしまうからです。そうした悩みはグループで他の専門家と共にディスカッションをすることで改善することができます。
また、クリニックは勉強会の開催のみならず、個々のトレーニングのための研修費を常勤なら20万円、非常勤なら10万円まで補助しています。学びたいことを自由に学べる場所を提供していきたいと思っています。そして学んだことをクリニックに還流してもらえれば、さらにクリニック全体のレベルが上がっていくのです。

常勤としての働き方も、非常勤として働き方もどちらも魅力的です。
常勤であっても週4日クリニックで働いて、残り1日を自分の学びたいことに当て、病院での外来を担当したり、手技を行ったりする働き方をクリニックは推奨しています。継続的な学びが全体に有利だからです。働き方の選択はかなり自由にできると思います。
人生のライフステージに合わせた時間配分が望ましいのではないでしょうか?

在宅専門クリニックで働くということは、個人で開業するよりも、休みを促進する点でも優れていると思っています。
在宅医療では通常2週間に1度、計画的な訪問をします。毎月第1週と第3週に訪問する方、第2週と第4週に訪問する方とわけると、5週間ある月には1週間分の時間が余分になっていきます。そのため医師には、前後の土日を含めた9連休を年に2回とってもらうようにしています。それを利用して海外旅行や、家族旅行に行くことができます。
また、計画的な診療ですから時間の融通はききやすく、平日の少しの時間、診療から離れて子どもの授業参観に行くなどの予定を立てることもできます。ただし、祝日は勤務することにしています。曜日ごとに診療する患者さんのエリアを決めているので、祝日を休むと他の日の診療リズムが大きく崩れてしまうのです。

当クリニックは平成24年度の厚生労働省「在宅医療地域連携拠点」としての活動を行いました。地域のさまざまな職種とともに在宅医療・介護の課題を見つけて、それを解決する方法を考えました。その時に挙げられた課題で解決出来つつあるもの、まだ途上のものさまざまありますが、確実に前に進んでいっている実感があります。
当クリニックではそのような医療以外の活動を本格的に行えるように一般社団法人Peace Co (ピースコ)を設立し、地域をプロデュースしていけるチームを持つこととしました。さまざまな活動で、「在宅医療・在宅生活」を日本に根づく「文化」になるように高めていきたいと思っています。

なぜ今、厚生労働省を中心に国は在宅医療を推進しているのでしょうか?
いわゆる「2025年問題」とは、団塊の世代が後期高齢者になることで医療依存度が高い人が急増し、病院のみでは対応しきれないことが予測される社会問題です。
病院内の改革も進められていくでしょうが、病院の外の体制を整えることが重要になっています。
病気が発生してから治すのではなく、予防し、早期に発見・治療してしまうこと。
病院という有限な資源を大事に使い、緊急時に病院で治療ができる社会であること。
病気が治らないものであれば、本来家に帰りたいと思っている人の選択を実現してあげること。
このような活動を力強く、そして迅速に進めることこそ、今からの10年で求められていることなのです。

未来の医療者に関わり教えることは、自分自身が良い医療を提供するのと同等、ひょっとしたらそれ以上の成果をもたらすものだと思います。何をどのように教えると、その人の残りの人生のアウトプットがよいものになるのか、その影響まで考えて日々の実践をしていきたいと思っています。
ちょうど私が、先輩に教えてもらったように。そして私が先輩から言われたように、「恩は僕に返すんじゃないよ。次の後輩にそれをあげてね」と。


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業務内容 在宅訪問診療全般
募集人員 若干名
募集資格 臨床研修終了程度の医療知識および技術がある若手医師から、 医師経験の長い方まで、在宅医療に対しての熱意のある方を幅広く歓迎致します。
勤務地 岐阜県羽島郡岐南町薬師寺4-12
勤務日数 週4〜5日
勤務時間 8:00~17:30 ※緊急対応当番はシフト制で自宅待機
休日休暇 週2日(原則として土日)、年末年始、有給、慶弔、年に2回9連休あり、産休育休制度、介護休業制度
待遇

社会保険完備、賞与あり、退職金制度、研修支援(年間20万円まで)、 社用車貸与、業務用携帯電話貸与



常勤医師のみでなく非常勤医師や夜間の待機医師も広く募集しています。自分の専門科の知識やノウハウを、在宅医療で活かしてください。慣れないうちは患者宅での診療などに戸惑いを感じるかもしれませんが、看護師とユニットを組んで訪問診療を行うことで、自分が知らない患者さんの状況も把握した上で診療できます。あなたが不在の時は常勤医師と看護師が対応し、メールで申し送りをしますので特別な呼び出しはありません。


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業務内容 在宅訪問診療全般
募集人員 若干名
募集資格

臨床研修終了程度の医療知識および技術がある若手医師から、 医師経験の長い方まで、在宅医療に対しての熱意のある方を幅広く歓迎致します。

勤務地 岐阜県羽島郡岐南町薬師寺4-12
勤務日数 応相談
待遇

応相談(週1回 8:30~17:30の間で4時間以上) ※深夜・休日の緊急対応当番は希望があれば勤務可
研修支援(年間10万円まで)